『勝手にふるえてろ』綿谷りさ

勝手にふるえてろ

松岡茉優主演の映画を観ました。後から、綿谷りさ原作だと知って、あれ?そういう作風だったっけ?この原作はいったいどうなっているのかと。読んでみると、小説の方もエンタメ感が強め。小説も映画もどちらも楽しめると思います。

恋愛しないとだめですか?賞味期限切れの片思いと好きでもない現実の彼氏。どっちも欲しい、どっちも欲しくない。迷いながら、ぶつかりながら、不器用に進んでいく。片思い以外経験ナシの26歳女子が、時に悩み時に暴走しつつ「現実の扉を開けてゆくキュートで奇妙な恋愛小説。

江藤良香、26歳、OL。中学時代の同級生への片思い以外恋愛経験ナシ。おたく期が長かったせいで現実世界にうまく順応できない不器用な彼女だったが、熱烈に愛してくる彼が出現! 理想と現実、ふたつの恋のはざまで右往左往、揺れ動くヨシカ。時に悩み、時に暴走しながらやがて現実の扉を開けてゆく。遅咲きの主人公はコミカルながら切なく、そして愛おしい。妄想力爆発のキュートな恋愛小説が待望の文庫化。

映画は、演出と松岡茉優がすごかったですね。これ、原作はどうなってるんでしょうか。文章だけで表現できるものなのでしょうか。松岡茉優なしで成り立つのでしょうか。という確認も含め、本書を手に取ってみました。

結論としては、主人公の妄想の暴走が表現されていて、良かったです。と言っても、作りは映画とまったく違っていて、映画の方が原作をなぞるわけではなく独自路線を行っている感じですね。

最初の章はまるっと主人公の頭の中が描かれています。

とどきますか、とどきません 。光りかがやく手に入らないものばかり見つめているせいで、すでに手に入れたものたちは足元に転がるたくさんの屍になってライトさえ当たらず、私に踏まれてかかとの形にへこんでいるのです。

これは冒頭の部分なのですが、ちゃんと文学作品です。けど、全体的にちゃんとエンタメしていて読みやすいです。他の作品を読んでいないので何とも言えないのですが、少なくとも『蹴りたい背中』より主人公の感情を理解しやすいのではないかと思います。

『蹴りたい背中』との共通点としては、このあたり。

私のことを好きだ好きだと言っていた彼が急に冷たくなったら、せつなくて好きになってしまうかもしれない。

なんとなく近い感じがしますね。

また、著者の比喩表現がおもしろいと思っているのですが、それは本作でもたびたび出てきます。

処女とは私にとって、新品だった傘についたまま、手垢がついてぼろぼろに破れかけてきたのにまだついてる持ち手のビニ ールの覆いみたいなもので、引っ剥がしたくてしょうがないけど、なんか必要な気がしてまだつけたままにしてある。自然にはがれたらしょうがないけれど、無理やり取っぱらうのは忍びない。

妄想だけでなく、行動も暴走します。読者はこんな行動はしないと思いますが、なんだか気持ちはわかる、わからないけど文章を読んでたらなんだかわかる、というのは著者の特徴のような気がします。

小説では文章による表現を楽しめますし、映画は原作とは違った演出が楽しめます。そして、松岡茉優のハマりっぷり。小説も映画もどちらもおすすめしたい作品です。

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